亡き住職の遺志継ぎ、開かれたお寺へ 真言宗平林寺でグリーフケアの催し
大切な人を失い、悲しみや喪失感を抱えた人を支えるグリーフ(悲嘆)ケア=用語解説=の大切さを呼びかけるイベントが11日、兵庫県宝塚市の真言宗単立寺院平林寺で開かれた。長年二人三脚で寺を支えてきた住職を3カ月前に亡くした寺庭婦人が、仲間と共に実現させた。マルシェやライトアップなど多彩な催しを繰り広げ、志半ばで他界した住職の遺志を継いだ。
「地域の輪」広げる
イベント「マルシェdeグリーフケア」は、平林寺の塔頭(たっちゅう)、大覚寺派成福院を拠点に活動しているグループ「こころのケアの会」が主催した。テーマは「五感で癒やす、地域の輪」。グリーフケアを学んだメンバーが、大切な人や物をなくした悲しみを語り合い、多くの人にケアを知ってもらおうと昨年に続いて開いた。
寺庭婦人で同会代表の今井薫さん(64)は、介護していた住職の祖母を看取(みと)ったことをきっかけにグリーフケアに関心を持つようになった。上智大学グリーフケア研究所で学び、臨床傾聴士=用語解説=の認定を受けた。日々、檀家の話を聴く中で終活の必要性に気付き、終活カウンセラーとしても活躍している。

「命の明かり」ともす
マルシェは平林寺境内で店開きし、キッチンカーが飲食物を販売した。同寺会館では講演会が行われ、宝塚市の訪問医、中村誠志さん(67)が「いのちの講演会」と題して話した。シャンソンライブもあり、同市在住のシャンソン歌手、須山公美子さんが伸びやかな美しい歌声を披露した。

日暮れとともに境内では「ピンク&ブルーリボン運動」のライトアップが行われ、妊娠中や出産後に赤ちゃんを亡くした家族に思いを寄せた。
シンボルカラーのピンクと青の明かりを包んだ紙袋に、参加者らがメッセージを手書きし、明かりを囲んで祈りをささげた。

在りし日の姿に、背中を押されて

今年の「マルシェdeグリーフケア」は、寺庭婦人で「こころのケア会」代表の今井薫さん(64)にとって思い入れが強いイベントになった。在家からお寺に嫁いで35年。二人三脚で成福院を支えてきた夫の今井弘道住職=当時(69)=が、6月22日に遷化して以来の大仕事になったからだ。
