【熊本地震】〝日常〟に向け一歩 ボランティア・職員ら続々 遺骨移動やがれき撤去 浄土真宗本願寺派
令和8年熊本地震で大きな被害を受けた熊本県内の寺院は、墓掃除やお供えの用意など盆支度もままならない中、宗派や本山から応援の職員やボランティアが続々と駆け付け、後片付けに汗を流した。先が見通せず、それぞれが心の傷を抱えながらも、〝日常〟を取り戻すために一歩ずつ踏み出し始めた被災地の様子を、お盆のさなかに取材した。
「地域の拠点」再確認
浄土真宗本願寺派本山本願寺(西本願寺、京都市下京区)は熊本教区教務所や本山の職員、一般ボランティアが被災寺院を訪れ、被災状況とニーズを確認しながら活動を始めた。
光現寺(熊本県八代市)は山門が倒壊。本堂の裏手をコの字型に囲む納骨堂も解体しなければならない状態だ。川上証智住職(33)は「ご遺骨を助け出す必要がある」と、支援を要請した。
一般ボランティアを含む支援スタッフ3人は納骨堂から遺骨を丁寧に取り出し、間違えないようテープに番号と名前を書いて骨つぼに貼り、本堂に広げたブルーシートの上に並べた。本堂は余震で倒壊する危険をはらむため、避難経路を確保しながら慎重に作業を進めた。

大阪府豊中市からボランティアとして訪れた米原千津子さん(54)は、東日本大震災や能登半島地震でも活動した。7日から11日まで作業を続け、「門徒さん以外とも物資を分け合っている様子を見て安心した。地域に入り込んでいるお寺さんの姿を見ることができた」と話す。
光現寺はガス、水道、電気が使用できたため、川上誠也前住職(74)は門徒や住民らに避難を呼びかけたい気持ちはあったが、「いつ倒れるか分からない状態で、来てくださいとは言えなかった」と、葛藤を振り返った。
川上住職は本山で勤務しているため8日にようやく戻ってこられた。「山門の状況を見た門徒さんからショックだと伝えられた時に、地域に支えられていることが分かった。頑張れということだ」と前を向く。その上で「これから心の傷がふっとした時に出てくるはず。そういったときに寄り添う場でありたい」と静かに語った。
現場リーダーの養成課題
教法寺(熊本県八代市)の髙陽尚人住職(69)は言う。
「あと5分ほどで到着というときに大きな揺れを感じると、車からいつも見えている本堂が土煙で見えなくなっていた」。それが収まったときに、本堂も山門も倒壊していた。「あらーという感じだった。今も実感がない」という。
本尊は「この辺にいらっしゃるだろう」と見当をつけて、瓦を1枚ずつ取り除き、助け出した。断水が続いている中、「自分でできることは限られている。手伝いに来てもらえるのはありがたい。改めておかげさま、という思いを感じている」と話す。
ボランティアは初めてという神戸市内の女性(33)は、納骨堂の清掃や細かく飛び散ったがれきの撤去に取り組む。「宿泊できて、現場まで連れて行ってくれる」と、西本願寺のボランティア募集にたどり着いた。「お寺に情報が集まり、地域の拠点となって活動しているということは知らなかった」と、活動を通じてお寺の役割と重要性を学んだという。

熊本教務所職員の工藤哲修さん(50)は、各寺院からの手伝いの要請と現場支援のマッチングを行い、被災寺院を巡る。「今はまだ、どこの寺院もぼうぜんとしている状況。顔を出して会話して、お手伝いすることを心がけている」
本堂の片付けは文化財が含まれている可能性があり、一般の人が簡単に手を出せないことも想定される。工藤さんは「現場のリーダーやコーディネーターを育てていかなければならない。今後はさらに人手が必要になるので、ボランティアにも来てほしい」と呼びかける。
