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「ネルソンさん」が求めた仏教の救い㊤ 交流した真宗僧侶の知るアナザーストーリー【動画有】

 国内外から注目されている塚本晋也監督の映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』。米海兵隊員としてベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソンさん(1947~2009)の自伝を元にした作品だ。戦場で多くのベトナム人を殺したネルソンさんは、長年にわたり加害と罪の意識に苦しみながら、日本各地で1200回以上の講演を行った。晩年に救いを求めたのが、仏教。とりわけ石川県加賀市の浄土真宗光闡坊(こうせんぼう)住持、佐野明弘さん(68)とは深い心の交流があり、お葬式も依頼した。映画で描かれなかったネルソンさんの信仰を中心に、佐野さんに話を聞いた。(上中下3回に分けて掲載します)

小野木 康雄•
『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』9月11日よりkino cinéma 新宿ほか公開 ©Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partners ©Allen Nelson/KODANSHA
『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』9月11日よりkino cinéma 新宿ほか公開 ©Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partners ©Allen Nelson/KODANSHA


露天風呂での対話

 《光闡坊は、真宗中興の祖・蓮如上人が開いた山田光教寺跡に建つ。四男光闡坊蓮誓の名を継いだ寺院であり、蓮如上人旧跡として、真宗大谷派(東本願寺)と浄土真宗本願寺派(西本願寺)が共同で所有している。佐野さんは大谷派の僧侶だ》

――ネルソンさんとの出会いについてお聞かせください。
 「2004(平成16)年2月5日付の北陸中日新聞で、アレンさんが東京の大東文化大学で講演したという記事を読んだのがきっかけです。それまで私は戦争被害者の証言は知っていましたが、加害者が『自分のような人間を生み出してはだめだ』と訴えていることを初めて知り、関心を持ちました」

 「当時はイラク戦争への自衛隊の海外派遣が問題になっており、憲法9条の拡大解釈に歯止めがかからないことへの危機感がありました。そこでぜひ話を聞きたいと大学に連絡し、アレンさんが来日される際にお世話になる方の連絡先を教えてもらいました。その年の5月に加賀市内で講演していただきました」 


光闡坊の入り口に建てられた「蓮如上人御旧跡」の石碑
光闡坊の入り口に建てられた「蓮如上人御旧跡」の石碑


 《ネルソンさんは1966(昭和41)年、19歳でベトナムに派遣される前の約1カ月間、沖縄のキャンプ・ハンセンに滞在していた。95(平成7)年に沖縄で起きた米兵少女暴行事件=用語解説=に衝撃を受け、翌96年に再来日。それ以降たびたび日本を訪れ、自身の体験を元に講演を続けてきた》

――佐野さんはネルソンさんをファーストネームで呼びますが、どのように親しくなったのですか。
 「他の人にこれを言うと意外な顔をされるのですが、アレンさんと私の間では、初めから宗教の話ばかりしていました」

 「最初に深く話したのは、片山津温泉(加賀市)の露天風呂にお連れしたときでした。『お釈迦様は生まれてすぐに7歩歩いたというが、あなたはそれを信じているのか?』。これがアレンさんの初めての質問でした」

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