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社説有料

【連載・宗教防災⑤】<㊥文化財>企業の英知を寺社に 「伝統文化守る」使命感

 11月に設置が想定される防災庁で、具体的な施策の一つに挙げられるのが「民間・個人における予防力強化の推進」だ。寺社にとっては、行政から文化財指定されていなくても、地域資源である建物を自分たちで守る必要がある。高い技術とノウハウ、そして使命感を持つ企業は、コストが高くなりがちな木造建築でも負担が軽くなるよう工夫や提案を行っている。

建物傷つけずに設置

 住友ゴム工業株式会社(神戸市)は昨年、浄土真宗本願寺派徳行寺(兵庫県たつの市)で、地震の揺れを吸収する特殊なゴムを使った「制震ダンパー」の設置工事見学会を開いた。

  制震ダンパーは地震の際に建物の変形や損傷を防ぐ装置。本堂床下に設置するため、伝統的な木造建築のたたずまいを損なうことがない。屋根や壁の基礎工事は不要で、くぎを打ち込まず柱をつかむように取り付ける。部分補強のため、大規模で高額になる免震工事に比べてコストは3分の1程度と、大幅に抑えられる。

 すでに真宗大谷派真宗本廟(東本願寺、京都市下京区)の御影堂(ごえいどう)や大谷祖廟(同市東山区)、熊本城(熊本市中央区)などに設置されている。

浄土真宗本願寺派徳行寺の本堂下に取り付けられた制震ダンパー=兵庫県たつの市(住友ゴム工業株式会社提供)
浄土真宗本願寺派徳行寺の本堂下に取り付けられた制震ダンパー=兵庫県たつの市(住友ゴム工業株式会社提供)

 ハイブリッド事業本部の須田純平課長は「大規模地震に対して、今の耐震技術では1回耐えられればいい。2016(平成28)年の熊本地震のように大きな揺れに複数回襲われた場合、持ちこたえられない可能性が高い」と話す。

 その点、制震ダンパーは京都大学による木造戸建て住宅での実験で、14回の揺れに耐えた。熊本地震や24年の能登半島地震の前にダンパーを設置した住宅は、全半壊がゼロだったという。

 かつて神戸市に本社があった同社は、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災で被災した。能登半島地震で多くの寺社が倒壊したのを見て、制震ダンパーを広める必要性を感じ、本格的に神社仏閣向けの設置に取り組み始めた。須田課長は「制震ダンパーは壊れた建物には使えない。被害を受ける前に、ぜひ設置を検討してほしい」と力を込めた。


安価で手軽なブレーカー


 日東工業株式会社(愛知県長久手市)が開発した「感震ブレーカー」は、震度5強相当以上の揺れを感知すると自動的にブレーカーを遮断する。併せて設置を勧める「放電検出ユニット」は、微細な火花などが発生する異常なノイズを検知すると、ブザーや発光ダイオード(LED)で警告する。

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